手作り肥料の意義
生ゴミ堆肥化が自治体財政を救う理由
ここからは、
生ゴミを堆肥にすることが どれだけの経済効果を生み出すか を、
自治体と家庭の両方の視点から整理する。
この章は、
自宅農業が「趣味」ではなく
社会システムの改革である ことを示す部分だ。
■ 1. 生ゴミ焼却という「見えない赤字」
多くの自治体にとって、生ゴミは「燃えるごみ」の30〜40%を占める。
その約80%は水分だ。
つまり、
水を燃やすために重油を使い、税金を投じている。
生ゴミ1トンの焼却には、
焼却経費:2万〜4万円
助燃用重油:約760リットル
これが毎日、毎年、全国で積み上がっている。
人口が減り、税収が減っている中で、
この構造はもはや持続不可能だ。
■ 2. 生ゴミを堆肥に回したときの行政コスト削減
生ゴミを家庭で堆肥化すれば、
自治体は「集めて燃やす」必要がなくなる。
焼却費用が減る
重油使用量が減る
焼却炉の負担が軽くなり、更新時期を先送りできる
人口10万人(約4万世帯)の都市を例にすれば、
1世帯あたり生ゴミ年間約180kg
総量:7,200トン/年
これをすべて堆肥化に回せれば、
焼却コストは 年間数億円規模 で削減できる。
これは、
子育て支援
教育
福祉
インフラ維持
あらゆる分野の財源になり得る。
■ 3. 家庭側の直接的なメリット
家庭での堆肥化は、自治体だけでなく、
家計にとっても「経済行為」になる。
指定ごみ袋代の削減
肥料代の削減
土を買うコストの削減
1世帯あたり年間6,000〜15,000円ほどの節約効果が見込めるとすれば、
4万世帯で 年間2.4〜6億円相当 の負担軽減になる。
家庭が自分の行動で、
ごみを減らし
肥料をつくり
出費を減らし
自治体の財政を助けている
この構造が生まれる。
■ 4. CO2削減とカーボンクレジットの可能性
生ゴミを焼却から堆肥化に切り替えると、
1トンあたり約2トンのCO2削減効果があるとされている。
これは、
カーボンニュートラル政策
排出権取引
企業のESG投資
といった文脈ともつながる。
将来的には、
家庭堆肥化によるCO2削減量そのものが価値を持つ時代 が来る。
そのとき、
自宅農業を実践している家庭は、
すでに「時代の先頭」に立っていることになる。
■ 5. なぜ今まで本気で取り組まれてこなかったのか
これほどの効果が見込めるにもかかわらず、
生ゴミ堆肥化は、日本で一気に広がってはいない。
理由は単純で、
「自治体がやると逆ざやになる構造」 があるからだ。
生ゴミを分別して収集するコスト
専用車両、人件費、設備投資
つくった堆肥の行き先がない(受け皿不足)
自治体主導で行うと、
コスト増
堆肥の滞留
担当部署の負担増
などが壁になる。
だからこそ、解決策は 家庭にある。
■ 6. 家庭がやるからこそ成り立つモデル
生ゴミを出すのも家庭、
生ゴミを堆肥にするのも家庭、
その堆肥で野菜を育てて食べるのも家庭。
このモデルでは、
分別収集がいらない
運搬コストもいらない
堆肥の保管施設もいらない
コストが最初から存在しない。
つまり、
「行政がやると赤字、家庭がやると黒字」
という構造になる。
自宅農業は、
自治体の財政難を、
最も安く、最も早く、最も安全に改善する手段 である。